健康を守るのは個人の責任――昭和も平成もこれが常識でした。「体調管理もできない人間は、仕事をする資格はない」という倫理。正しい。さすがだなと思ったのが、舞台公演を予定している声楽家の自己管理。がっちりマスクをして自分を守っていました。当然でしょう。舞台に穴はあけられない。

自助では防ぎきれない現実

しかし、この常識では対応できなくなってしまったのが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行です。まず、この病気自体の感染力が強すぎることが問題。いろんな研究から

  • ノーガードだと感染者との1分間の接触でも感染が成立する*1
  • マスクをしていても、密な環境に長時間いると感染する*2

ことが判明しています。かかりたくない人がマスクで自衛しても、環境によっては防ぎきれない。個人の責任だけでは、どうにもならないということです。

さらに深刻なのが、新型コロナに感染すると免疫がダメージを受け、他の感染症にも弱くなってしまうことです(「免疫窃盗」と呼ばれています*3)。とくに影響を受けているのが子どもたち。新型コロナが子どもたちにひろがった2022年以降、顕著に他の感染症患者が増えました。わかりやすいグラフを出しておきます。

東京都の咽頭結膜熱の感染者数(2023年12月)

事業者の共助モデルの意義

子どもが発熱をすれば、親は仕事を休むほかありません。さらに家庭内感染で子どもに続いてダウンすることもある。それが新型コロナやインフルエンザ感染の場合、十分な療養期間をとらずに出社すれば、部や課でクラスターをおこしてしまう可能性も高い。個人の甘い考えで、組織が大きな被害を受けてしまうのです。

「事業者の共助モデル」
を提唱したのは、これが理由です。自助だけでは限界のある病気が蔓延しています。といって、新型コロナは2023年5月から5類に分類されていますから、国に公助を期待するのは難しい。残る手はひとつだけ。共助です。

事業者の共助モデルの基本的な考え方は、
従業員の家庭での感染対策も事業者が支援し、全員の意識を高めること
です。

共助を実践している具体例

首都圏の会社でBNUHC-18/20Lを購入して活用されている例があります。まさに共助の具体的なので、ご紹介しておきましょう。

この会社の業務内容は電気工事や設備メンテナンス。それを深夜に行う会社です。常にチームで行動。作業終了時は終電がなくなっていますから、会社が仮眠施設をもっています。工事やメンテナンスを終了したら、施設に戻って全員で休むという形です。

集団生活に近い仮眠施設は感染リスクが高いことから、BNUHC-18(Grapefruit Seed Extractを高純度精製水に添加物を使わずになじませたGSE水溶液。100%天然)の利用を決めたそうです。使い方としては

  • 部屋全体にスプレー
  • 洗面所とトイレの清掃に利用
  • 寝具にもスプレー

がメイン。そして使い始めてから今日まで、社員に感染者は出ているものの、仮眠施設でのクラスター事例は出ていないとのこと。就寝中はマスクをとりますから、部屋全体や寝具に使うのは正解。飛沫がとぶ洗面所と、水を流すたびにウイルスが周囲に飛び散るトイレに使うのは大正解です。GSEは効果に持続性がありますから、一度たっぷりやっておくと神経質に毎回スプレーする必要もありません。

BNUHC-18を選択していただいた理由は、GSEが無臭で扱いやすいこと(むしろ強力な消臭効果があります)、ヒトに安全であること、800種類の菌・真菌(カビ)・ウイルスを抑制するため*4、カビにも効果があること。そしてアルコールと異なり、トイレや洗面所、寝室の床など広範囲に使っても火災の心配がないことでした。

ぜひ持ち帰りの許可を

さらに一歩進めて、従業員が持ち帰って家で使うことを許可すると、共助の効果が高くなります。ITセキュリティと話は似ている。マルウェアもウイルスも、セキュリティホールを突破して、全体に影響を及ぼします。家庭のPCも組織のITシステムにとってはセキュリティホールそのもの。無視はできません。

個人任せにしないことが重要です。100人の従業員のうち、99人までが感染対策を頑張っても、1人が突破されてしまうとクラスターが起きる。それが新型コロナウイルス感染症やインフルエンザです。

GSEは子どもを含めたヒトに安全なだけでなく、イヌやネコ、小鳥のようなペットにも安全です。そして家中に使っても火災の心配がない。溶連菌を含む多数の菌やウイルスを抑制する効果が確認されていますから、家庭を感染症から守るのにぴったりです。

なにより、支給されれば心理的にたっぷりと使えます。これが大きい。菌もウイルスも油断を許してくれません。「手洗いしていたのに感染した」という人もいますが、よく話を聞くと、1日に数回洗っていただけ。感染を防ぎたいなら、頻繁に手指衛生することが必要です。

乳幼児がいる家庭なら、オムツの処理にも活用していただきたいところ。開いて「大」ならそこにスプレーするのがお勧めです。匂いも消え、作業がラクになる効果もあります。処理後の手指衛生も忘れずに。感染後も一か月くらいは、便中にウイルスを排出する感染症もあります。

GSEに期待できる効果

もちろんこの事例が、「GSEが感染を防ぐこと」を証明しているわけではありません。とくに新型コロナウイルスについて言えば、最も感染予防上で重要なのは空気を清浄に保つことです。換気をしてCO2濃度を低くすれば、空気中を漂うウイルスの感染性を早く奪うという研究も出ています*5

ではGSEに期待できることは何か。ふたつあります。第一は接触感染対策。ノーマスクの感染者はウイルスをたっぷり含む飛沫をあちこちに飛ばしてしまいますが、予めGSEをふんだんに使っておけば、その場でウイルスを抑制しますので、接触感染リスクを減らせます。無論、手指に使うのはもっと効率がいい。GSEが汚濁環境でも除菌効果を発揮することは実験で確認されています*6

第二は、思わぬ空気感染対策です。トイレを流したときに床に飛び散ったウイルス飛沫が乾燥すると空気中を浮遊し、感染をひろげることがわかっています*7。同じ原理で、床などさまざまなところに落ちたウイルス飛沫が乾燥してくると、ウイルスの飛沫核が浮遊し、感染源となり得るのです。GSEで床などを広くケアしておくと、効果に持続性のあるGSEが落ちてきたウイルスを抑制する機会が増えるため、そこで感染性を奪える可能性がある。

その意味で、もうひとつ使い方としてお勧めしたいのが、掃除の前に広くスプレーすることです。あるいは、BNUHC-18に浸したモップで清掃というのもいい。最近は水拭きをしてくれる掃除ロボットがありますが、これと組み合わせるのもお勧めです。掃除はウイルスが付着したホコリをまきあげてしまう作業なので、感染リスクがとても高いのです。

パンデミックは終わっていない

大変残念なことですが、COVID-19を第5類感染症にしたところで、パンデミックが終わるわけではありません。2023年冬は、各国でJN.1という変異体によって、感染者が急増しています。多くの国で、高性能マスク着用が強く推奨されている状況です。

もう日本中が、2023年5月8日を境に感染対策への興味を失ってしまいましたが、依然として必要です。5類化とは「公助をやめた」だけのこと。だからこそ、各自が自分たちの判断で共助・自助による対策を行うべきなのです。

感染対策に素知らぬ顔をしている間に、企業は大きなダメージを受ける可能性が高い。リスクを列挙します。

  • 後遺症(Long COVID)で従業員が離脱するリスク
    感染者10人のうち1人か2人が、長期間症状が続くLong COVIDを発症します。さらにそのうちの10人に1人程度は、激しい倦怠感などで働ける状態ではなくなってしまう。現在、イギリスでは35歳以下の50万人が、長期間続く病気のために失業中です*8。日本もこの後を追っています。
  • 感染の影響で短期記憶を失ったり、嗅覚異常をおこしていたり、空間認識失調をおこしたりしている社員が、大きなミスや事故をおこすリスク
    海外では感染者の交通事故リスクが高くなっているといった研究もされるようになりました。新型コロナ感染自体が軽症で終わっても、復帰した社員に不調が続いているもの。しっかりケアすべきです。その意味で、例に出した電気系の工事会社が会社ぐるみでクラスター発生を防いでいるのは正しい姿。感染者が多数出ると、その後の工事で大きなミスが出る可能性が高くなります。
  • 管理職が突然死するリスク
    新型コロナウイルスは心臓の冠動脈にも感染し、心臓に大きなダメージを与え、心筋梗塞などを誘発することが判明しており*9、2021年以降、心臓発作などで突然死する中年が40%ほど増えています。
  • 経営層が認知症を発症するリスク
    新型コロナウイルス感染が認知症となる引き金をひいたり、発症を加速させたりすることも判明しています*10。多くの企業で経営者は高齢です。新型コロナウイルス感染が経営者の認知症リスクを高めます(なお、複数回の感染で10代の若者が認知症になった事例も報告されており、認知症リスクは高齢者に限定した話ではありません)。

つまり、このまま対策せずに感染者をいたずらに増やしていい病気ではありません。感染を繰り返すたびに企業の経営リスクは高まります。もはや個人の責任の範疇を軽く越えてしまっているのが現実。新型コロナウイルスによる被害を最小限に抑えるための「事業者の共助モデル」をご検討ください。

なお、新型コロナウイルス感染症のリアルをもっと詳しく把握したい方は、この記事をご覧いただくといいでしょう。
パンデミック 2.0が始まった

注記

*1 cf.
Infectivity of exhaled SARS-CoV-2 aerosols is sufficient to transmit covid-19 within minutes
https://www.nature.com/articles/s41598-023-47829-8

*2 cf.
SARS-CoV-2 airborne infection probability estimated by using indoor carbon dioxide
https://link.springer.com/article/10.1007/s11356-023-27944-9

*3 2022年10月‐12月の調査で、0‐1歳児のRSウイルス感染リスクは新型コロナ感染者で7.90%、未感染者で5.64%と、感染者のほうが高かった。子どもたちの感染症増を2020年のロックダウンやマスク生活による免疫低下(免疫負債)で説明する人もいるが、2022年に生後1年以内の乳児はロックダウンとは無関係だ。新型コロナ感染による免疫窃盗とみていいだろう。
cf.
Association of COVID-19 with respiratory syncytial virus (RSV) infections in children aged 0–5 years in the USA in 2022: a multicentre retrospective cohort study
https://fmch.bmj.com/content/11/4/e002456

*4 cf.
The effectiveness of processed grapefruit-seed extract as an antibacterial agent: II. Mechanism of action and in vitro toxicity
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/10755530260128023

*5 cf.
Differences in airborne stability of SARS-CoV-2 variants of concern is impacted by alkalinity of surrogates of respiratory aerosol
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsif.2023.0062

*6 cf.
「“除菌”などをうたった製品の消毒効果」(表中の「シトラリッチ」がBNUHC-18相当品)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsei/36/3/36_157/_article/-char/ja

*7 cf.
COVID-19 Cluster Linked to Aerosol Transmission of SARS-CoV-2 via Floor Drains
https://academic.oup.com/jid/article/225/9/1554/6505230

*8 cf.
More than 500,000 under-35s in UK out of work due to long-term illness
https://www.theguardian.com/society/2023/dec/24/500000-under-35s-out-of-work-long-term-illness-uk

*9 cf.
SARS-CoV-2 infection triggers pro-atherogenic inflammatory responses in human coronary vessels
https://www.nature.com/articles/s44161-023-00336-5

*10 関連論文多数。以下は一例
cf.
The functional and structural changes in the hippocampus of COVID-19 patients
https://link.springer.com/article/10.1007/s13760-023-02291-1