2021年夏ころから、「コロナ対策はともかく換気」と言われています。それはその通りで、換気をして、空気中を漂うウイルスの濃度を下げるのは、とても重要です。

しかし、逆に、マスクをして換気さえすれば、対策完了というイメージになっていることが気になります。北大人獣共通感染症リサーチセンター特別招聘教授、長崎大学感染症共同研究拠点点長で、インフルエンザ研究がご専門の喜田宏氏の発言を引用しておきましょう。

実は、鳥インフルエンザウイルスの場合は、水を介して鳥に感染するのが主だが、感染した鳥を食べたカラスやアザラシが全身感染して死んでいるケースを何回も目撃した。個人的な感触だが、飛沫感染より胃に入ったほうが重症化するような気がする。だから、ウイルスの付いた手で食事をしないよう手洗いは重要だと、知人には伝えている。

感染力高い変異種の病原性「弱いはずがない訳」 東洋経済オンライン

ウイルスは胃液の酸で不活化すると言われており、この発言は気になります。たしかに胃酸でウイルスは感染性を失うのだけれども、食事中は胃酸が薄まるため、胃腸粘膜から感染する可能性はあるようです。

食事中は、意外なほど手を使います。そしてその手は、あちこちを触っています。手づかみでピッツァを食べる前に必ず手指衛生を気にするほうがよさそうです。