「夏はウイルスが苦手な季節だったんじゃないの?」
と言いたくもなります。どうしたことでしょう。突然また、新型コロナウイルス感染症患者が増えてしまいました。しかし考えてみると、デルタ変異体に大騒ぎしたのも昨年の夏でしたね。ひょっとしたら、冷房のために換気がおろそかになっているのが大きな要因かもしれません。そこに新しい変異体がやってきては、感染の波をつくっています。今回が第7波。変異体はオミクロン BA.5が主体です。

第7波の急激な感染者増。すでに第6波を大きく上回っている。

悲報:救急車は出払っています

悲報です。上のグラフのように急激に感染者が増えたため、多くの地域で医療崩壊が起きています(2022年7月26日時点)。「医療崩壊」なんておいそれと使いたくない表現ですが、
1)救急車が出払っていて、交通事故でもなかなか来ない
2)救急車が到着しても、受け入れ先病院がなかなか見つからない
という状態であり、医師たちは異口同音に「いまはケガをするな」と言っています。東京23区内でも、脳卒中で倒れた人の受け入れ先病院が(一刻を争う事態なのに)2時間も見つからないような状況なのです。

問題はコロナに感染した場合です。上のような状態ですので、病院(正確には保健所)は重症化リスクのある人を優先して入院させており、軽症者は救急車で病院に運ばれても、薬局でも買えるような解熱剤を渡されて帰されてしまいます。そしてその場合、救急車は自宅まで送ってくれません。しかも感染者ですから、「公共交通機関を使わないでくださいね」と言われる。自宅から遠い病院だと詰みます。ノドの激しい痛みや高熱に救急車を呼びたくなる気持ちはわかりますが、それでも医学的には「軽症」です。

ホテル療養も、現在はリスクの高い人で埋まっています。ワクチン接種済、とくにブースター接種済でかつ基礎疾患のない人は、自宅に1週間分の食料と飲料、以下のような家庭用の医薬品を備えておくといいでしょう。水分補給には、アイスボックスのような氷菓もいいようです。

詳しくはこちらのページを参照
https://www.fizz-di.jp/archives/1079268373.html

子ども・未成年の感染急増が特徴

やはり心配なのは、家族が感染してしまうことです。とくに子どもがいらっしゃる場合は深刻ですよね。オミクロン変異体から、子ども・未成年の感染が激増してしまいました。普通の保育園生活・学校生活で感染してしまうのですから、避けようがありません。下のグラフは、第6波のものです。

どうしてこんなことが起きるのでしょう。仮説に過ぎませんが、換気するだけでは対策が不十分なのかもしれません。子どもの特徴は距離が近いことです。オミクロンから、未発症の感染者が飛ばすツバに含まれるウイルス量が増えたという可能性もあります。もしも子どもと同居されている方なら、いますぐリンク先ページを保存してください。

「体外診断用医薬品」を選びましょう

発熱外来に予約をとって受診、というのが定石ですが、すでにパンクしており、電話もつながりませんし、予約がとれても朝から5時間待ちだったりする状況です。「抗原検査キットを使って、自分で確認しよう」という方は、「体外診断用医薬品」と書かれた抗原定性検査キットを購入してください(このほか「研究用」と書かれたものも売られている)。

体外診断用医薬品と明記されているものは、国が有効性を認めたものです。また、抗原定性検査では、陽性を確定することができますが、陰性についてはわかりません。クロは確認できるが、シロについてはわからないのです。この点に留意してください。「陰性だ。よしっ、旅行だ」という行動をとると、旅行先で発病して行き場がなくなる可能性もあります。抗原定性検査の陽性は信用できるが、陰性はあてにならない、と覚えておきましょう。

とにもかくにも、この波をどう乗り切るかが問題です。FAQ(Frequently Asked Questions. よくある質問)をご用意しました。2020年1月から新型コロナウイルスとCOVID-19の動向を分析してきた当社ならではのまとめです。

FAQ: マスクとワクチンについて

マスクとワクチンについての疑問をまとめます。

Q: マスクを着用しても感染を予防できないという話を聞きました。本当でしょうか

A: マスクが推奨されているのは、咳やクシャミ、会話などで飛び出る飛沫を抑えることができるからです。自分が感染するのを防ぐというよりは、もしも自分が感染者だとして、近くにいる人に飛沫を飛ばさない効果が期待されています。
本当は感染者だけがマスクをすればいいのですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、症状が出る前の人もさかんにウイルスを出すため、検査をしないと感染しているかどうかわかりません。そこで「とりあえず全員がマスクする」という考え方となりました。これをユニバーサルマスクと言います。
また、感染を予防できないわけではありません。そうでなければ、コロナ病棟で働く人がいなくなります。お医者さんたちは「高性能マスクをきちんと着用」していますね。不織布マスクを「隙間のないようにぴったり着用」すると、予防する効果もあるんです。医療用マスクがベストですが、不織布マスクでも隙間をなくせば十分です。おしゃれなウレタンマスクや布マスクをしたい場合は、下に不織布マスクをつけてください。

Q: ウイルスはマスクの穴を素通りするほど小さいようですが、着用の意味ありますか

A: 大丈夫です。ウイルスはたしかに極小ですけれど、唾液や鼻水の中にいますから、ツバや鼻水を飛ばすのをとめれば、ウイルスも止まります(クシャミをするときだけマスクを外す方がいますが、本当にやめてもらいたいですね)。ちなみに、感染力の強い人(Ct=25くらいの人)が飛ばすツバの一滴に、数100万個のウイルスが含まれているそうです。

Q: マスクをしないと入店拒否、というお店に立腹しています。人権侵害では?

A: お店には従業員と他の顧客の安全を守る義務がありますから、これはお店のほうが現時点では正しいでしょうね。「施設管理権」という概念があり、施設管理者は入室・入店ルールを決められます。決められたルールを無視して無理やり入店すると不法侵入になるでしょう。
これほどの感染爆発している中、ノーマスクで入店しようとする時点で「危ない人」と思われるのは仕方がないだろうと思います。新型コロナへの感染は交通事故に似ていて、どんなに注意していてももらうことがある。ノーマスクのあなたの周囲が気にするのは、もらい事故です。こんなに感染爆発しているのにノーマスクのあなたは、感染者である可能性が高いという判断をされています。

Q: ワクチンを接種しても感染した、という人が身近にいます。効果あるんでしょうか

A: あります。ワクチンに反対する方々は「うっても感染するから意味がない」と言いますが、「シートベルトをしていても死ぬことがあるから意味がない」といっているようなものです。
ヒトの免疫機構は「過去の記憶」に従って機能します。逆にいうと、未知のウイルス(SARS-CoV-2)には機能しないのです。いいようにやられる。ワクチンはヒトの免疫機構に予習をさせるもの、と考えてください。接種することで、ある程度は戦えるようになる。
ですから、「接種しても感染した方」は、限度を越えて多くのウイルスに曝露してしまった方です。ワクチンを接種して、感染予防対策でふりかかるウイルスの量を減らすことで感染を防げます。また、ウイルスとの戦い方を予習済ですので、防御線を突破されても(感染しても)、そのあとウイルスを追い出す力もついています。発症予防効果や重症化予防効果を期待できるということです。

ワクチンは世界中で接種されており、毎日のように研究データが論文発表されています。次のツイッターアカウントをフォローしておくといいでしょう。

Q: といっても、副反応も辛いし、mRNAは遺伝子を書き換えるというし、こんなワクチンを子どもにうたせたくありません

A: 遺伝子云々などmRNAワクチンの危険性を訴えるものはすべてデマと思って間違いありません(論文で証明されたものがいまのところ皆無であるため)。G7各国で合計15億回以上接種されて、安全性(正確には接種のリスク判定)に対する懸念はいまのところ出されていません。とくに薬害と消費者の権利にうるさいアメリカなどで訴訟が起きていないことは、大きな判断基準になるでしょう。
「子どもは感染しても無症状か軽症で済むから、感染して免疫をつけるほうがいい」と主張する学者もいますが、医学界では否定されています。いま、全国の小児科はパンク状態。40度の高熱を出してうなされ、せん妄になったり、 熱性痙攣を起こしたり、 激しい咽頭痛で唾も飲み込めず脱水症状となる子どもであふれているのがその証拠です(残念ながら)。
そもそも新型コロナにおける「重症/軽症」は肺炎症状による分類です。重症とは人工呼吸器やECMOを装着しないと、生命を維持できないような人のこと。その意味での重症化はしにくい(高齢者が重症化しやすく子どもがしにくいのは、過去のコロナ感染が関係しているようです)けれども、高熱やけいれん、脳症などの「重病化」(重篤化)はしますし、それでも医学的には「軽症」です。
子どもの発熱外来を担当している医師によると、「高熱を出している子どもは例外なく未接種」だそうです。接種を勧めます。子ども向けのmRNAワクチンの摂取量は減らされていますので、発熱などの副反応は軽微です。また、どうしても気になるなら、ノババックスの組み換えタンパクワクチンを選択するのもいいでしょう。効果は落ちますが、副反応は小さいし、昔からある技術で開発されたものです(接種できる年齢が限定されていることに注意)。

子どものワクチン接種体験は、こちらのツイートへのコメントで読むことができます。なお現時点では、国が子ども(5-11歳)にワクチンを無料接種するのは2022年9月30日までです。3週間あけて2回うつものですので、接種は急いだほうがいいでしょう。

Q: 妊婦がワクチン接種をすると流産しやすくなる、不妊になるという噂を聞きました。不安です

A: むしろ逆です。未接種の妊婦は重症化リスクが高く、かつ本人が軽症でも胎盤機能障害による死産のリスクがあると言われています。ワクチンで学んだ免疫パワーは赤ちゃんにも引き継がれますし、接種を勧めます。不妊になるというのは、もちろんデマです。妊婦とワクチンについての情報は、このツイッターアカウントをフォローしておくといいでしょう。

Q: マスクやワクチンはたしかに必要なものだろうけれども、そんなに身近に感染者がいるものだろうか。友人たちはまだ一人も感染していません。

A: それは幸運でした。しかし、東京都の感染者数が連日3万人前後というのは、かなりの数字です。感染症の動態を分析するための数理モデルを使い、1396万人の東京都民に対して、連日3万人の感染者が出ている状況を分析すると、1両300人の満員電車の中に17人ほどの「他人にコロナを感染させる可能性のある人」(感染性のある人)が乗っています。つまり人が集まれば、5%は感染者。人の多い室内では換気に気を配り、不織布マスクを隙間なくきちんと装着してください。

Q: 感染して自然免疫をつけるほうが、ワクチンより良質な免疫を得られると聞きました。私は感染して免疫をつけたいです

A: デマです。自然免疫のほうが、現実には劣っています。そして、未接種で感染した場合、「これまでに体験したことがないほど苦しい」という症状に見舞われる可能性もあり(これは運。かつ、それでも医学的には軽症)、お勧めできません。感染を数回繰り返すと、重症化リスクが高くなるという研究もあります。

Q: オミクロンはもう弱毒化して風邪のようなものと聞いている。第7波などといって騒ぐこと自体がナンセンスでは?

A: これもデマといっていいでしょう。けっして弱毒化はしていませんし、風邪とは比べ物にならないくらい邪悪です。重症者はたしかに減っていますが、これは弱毒化したからではなく、1)ワクチンの普及で重症化しにくくなったこと、2)オミクロンが肺(下気道)ではなく、上気道で増殖しやすい特性をもっていること、の組み合わせです。
COVID-19感染者の脳は萎縮して10年分の老化をしているといいますし、味覚障害嗅覚障害が長く続く人もいる。Long COVIDと呼ばれる後遺症も深刻。最新の研究では5%くらいがLong COVIDに悩んでいるようです。40人学級だと2人がそうなるということですから、ものすごくリスクが高い。
死者や重症者が少ないから、風邪と同じ、と判断するのは早計です。本当の意味で「風邪と同じ」というには、快復したら「元通りの身体」にならないと困ります。とくに子どもの場合は、MIS-Cや劇症肝炎の引き金になるとも言われており、風邪とは比べ物にならないくらい、怖い病気です。

Q: じつはもう感染経験ありです。だからもうワクチンは不要ですよね

A: それはもったいない。感染者がワクチンを接種すると、より強力な免疫を得られるという研究があります。ぜひ感染後でも、接種なさってください。

Q: こっそり教えてください。「人口削減ワクチンだ」というのは、本当のところ、どうなんでしょう

A: 私が世界の支配者なら、ワクチンを接種する人を残しますね。


FAQ: 家族が感染した場合の注意事項

家族が陽性であることが発覚した場合の注意事項をまとめます。とても重要なことを最初に書いておきます。「一人感染者が出たら、その人だけを隔離するのではなく、家族全員がバラバラに生活するようにしましょう」です。他の家族もすでに感染している可能性を考えての措置です。

Q: 家族をホテル療養に送り出しました。室内の消毒はどうすればいいでしょうか

A: 室内のあらゆるところを消毒したくなりますが、現実問題としては難しい。ともかく、部屋中にアルコールを噴霧するのだけは絶対にやめてください。アルコールは可燃物です。次に料理を始めた瞬間に爆発する危険すらあります。
感染者が出たオフィスなどを消毒する業者は、まず床とトイレ、そして手が触れたところを消毒しています。家庭だと、以下がターゲットになるでしょう。

  • 感染者がいた部屋と共用部の床と手を触れたところ
  • トイレとトイレの床、および洗面所

掃除機はウイルスを部屋中にまき散らしてしまう可能性があるので、拭き掃除をしてください。往復運動で拭き取ると、往でかきとったウイルスを復でふたたびなすりつけてしまうので、一方向に動かすのがポイントです。


大きな問題は家庭で使える適当な薬剤があまりないことです。アルコールは前述の通り火災の危険がありますので、ドアノブなど局所的にしか使えない。次亜塩素酸水は出来たてを使うのが定石です。トイレと洗面所など高確率でウイルスがいるところを除き(トイレは便を通じて、洗面所では飛沫を通じてウイルスが飛び散っている可能性が大きい)、家庭では界面活性剤(住まい用の洗剤)を使っての拭き取り清掃が妥当でしょう。もちろん、GSE(Grapefruit Seed Extract)を使うのも有効です。海外の病院ではGSEを消毒に使っているところもあります。
なお、清掃時は防護服に身を固めるのが常識ですが、家庭では難しい。きちんとマスクをつけて作業し、終了後はすぐにお風呂に入りましょう。意外な落とし穴はゴミの処理です。感染者が鼻をかんだティッシュなどはウイルスのかたまり。そおっと上からビニール袋をかぶせて、静かにごみ箱をとりだし、すぐに密閉してください。

Q: 家族(大人)が自宅療養となりました。留意すべきことを教えてください

A: それは大変ですね。子どもだと難しいですが、大人の場合はマスクを着用してもらいましょう。室内にふりまくウイルス入り飛沫を減らせます。もちろん動線をなるべく分けてください。使ったタオルや衣類はビニール袋をさしいれ、そこにいれて密閉してもらいましょう。
自宅療養には、二つのパターンがあります。ワクチン接種済の方に多いのが、けっこう元気だけれど、出歩かないでくださいね、という自宅療養(感染性がありますから、当然です)。濃厚接触者になっての自宅待機もこれに含みます。この場合は、マスクをして、ともかく部屋にこもっていただくこと。注意はトイレを清潔に保つことです(複数のトイレがあるなら、一つを専用にすることもできますが)。1日1回、GSEをたっぷり使って清掃することを勧めます。GSEの除菌効果には持続性がありますから、いちいち清掃する必要がありませんし、そのぶん感染リスクも減らせます(毎回の清掃もリスクです)。
お風呂は最後に入ってもらいましょう。歯磨きも洗面所ではなく、入浴時にしてもらうといい。感染者の歯磨きは、ウイルスを大量にふりまくことになるからです。でも、お風呂を消毒する必要はありません。最後に流してもらえば十分です。お風呂は湿度が高いので、空気中を漂うウイルスも下に落ちています。

一方、症状が強く出る人もいます。激しいノドの痛みや高熱などです。それでも、肺炎が軽ければ、医学的には軽症なのです。苦しいけれども、冒頭に書いたように、いまは入院もさせてもらえませんから、家族が看病するほかありません。なるべく接触しないようにしつつ、必要なときはしっかりとマスク(不織布マスクをぴったりと)をし、対応のあとは着ているものを洗濯機にいれ、シャワーを浴びること。ゴミの処理にも留意してください。GSEのスプレーを頻繁に使うと、少しは安心できます。

自宅療養で気になるのは容体急変です。東京都がこのような情報発信をしています。

出典: https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/zitakryouyou.files/meyasu.pdf

Q: 家族(子ども)が自宅療養となりました。注意事項を教えてください

A: 本当に心配ですね。ワクチン接種があまり進んでいないこともあり、40度をこえるような高熱をだす子どもが多いようです。まず、解熱剤の使い方を覚えておきましょう。

出典: https://twitter.com/Fizz_DI/status/1551801488510697472

これ以外は大人と同じ対応ですが、子どもの場合は水分補給に気をつかってあげてください。

出典: https://twitter.com/Mama_Melaleuca/status/1550057789397307392

なお、療養期間は2022年7月22日現在、この表のようになっています。

出典: https://twitter.com/black_kghp/status/1550495031882297344

FAQ: 感染予防のための留意事項

ともかく、新型コロナウイルス感染症には、かからないことが最善です。とくに感染者が集中しているときに罹患すると、発熱外来でも待たされる、救急車も来ない、という状況に陥ります。感染予防策は「換気・マスク・手洗い・3密を避ける」と言われていますが、さらに具体的な感染予防策をまとめます。

Q: 感染リスクの高い場面とは、どんな場面でしょうか

A: 新型コロナウイルス感染症は、人が吐出するウイルスを吸い込んだり、口にいれたりすることで感染します。そして厄介なのは、元気な人がじつは感染者で、ウイルスを吐出していることです。カラオケ大会のクラスターや高校・大学の部活動のクラスターがその証拠。元気にカラオケできる人、部活のできる学生がじつは感染者だったりするのです(この点がインフルエンザと決定的に違うところです。インフルなら、感染性のある人はクシャミや咳、発熱に見舞われて寝込んでおり、歌ったりスポーツしたりできる状況ではありません)。
当然、人が近くにいるところ、そして声を出すところ、なかでもマスクなしで声を出すところが感染リスクの高い場面です。たとえば、温泉そのものは距離もとれますし、湿度が高く、ウイルスは下に落ちているので、感染性のある人と一緒になっていてもあまり危険はない。しかし、脱衣場でうっかりマスクなしでその人と話してしまうと、感染してしまうわけです。
そしてもう一つ、ウイルスが大量に存在している可能性がある部屋も危険。それは、声を出すところと、トイレです。いったん床などに落ちたウイルスが、乾燥とともにホコリにのって浮遊し、それを吸い込んで感染する可能性があります(「塵埃感染」という)。

Q: 感染リスクが低いと思われる場面でも、感染することがあるようですね。具体的な事例をおしえてください

A: いまは「換気のできない部屋」の感染リスクが高いことは常識となりました。ともかく換気が大事。しかし、換気にばかり気をとられているようです。思わぬ感染の事例をリストします。

  • BBQでの感染
    バーベキューは外でやるものですから、換気の心配もない。絶対安全だと思っていたら、複数のクラスターがBBQで発生しています。おそらくこれは飛沫感染でしょう。おしゃべりの飛沫が相手の料理にふりかかっての感染です。「向かい合っては話さない」ことが重要です。
  • 外のプールでの感染
    プールもBBQ同様、安全な場所だと思っていたら、意外にも感染している。BBQと共通していることがあります。それは「マスクを外しており、ついうっかり、近くでおしゃべりする」ことです。これも飛沫感染だと考えられます。しかし、とくに子どもの場合、対応策をとることは難しい。子ども同士より、家族で行くのが正解と言えそうです。
  • 子どもの食べ残しを片づけて感染
    これは「もったいない」という気持ちから、ついやってしまいがち。子どもの食べ残しを片づけて、感染した事例が出ています。無症状の感染者である可能性を考え、当面は(じつにもったいないですが)子どもの食べ残しは捨ててください。
  • 互いにマスクをしていたのに感染
    よくあるのは、互いにマスクをしていると声が聞き取りにくいこともあり、気がつくと距離が近くなってしまっているケース。マスクをしていても、話す時間が長くなるなら距離をとりましょう。また、目を保護するのも有効です。メガネをかけるだけでも効果があります。

Q: 黙食・マスク会食がなんだかバカバカしいのですが、意味はありますか

A: おおいにあります。飛沫感染対策です。すでに書きましたように、Ct=25くらいの感染者が出すツバの一滴に、数100万個のウイルスがいます。テーブルの上に料理をのせたままおしゃべりをすると、きっと数千万個のウイルスを食べることになるのです。
「胃液でウイルスが死活するから問題ない」という説もありますが、胃に届くまでに咽頭があり、そこから感染する可能性は十分にある。また、食事中は胃液がうすまるので、数千万個のウイルスのうち、何割かは腸まで到達し、そこで感染する恐れもあります。Long COVID患者は腸にウイルスが長く感染しているという研究もありますので、口からの感染がLong COVIDの原因のひとつになっている可能性もあります。
一方、ウイルスは熱に弱い。熱々のラーメンを熱々のまま食べきるなら、ウイルスが多少降り注いでも問題はありません。だから黙食なのです。そしておしゃべりはマスクをしてから、ということです。とくに注意したいのは、写真のような食事です。テーブルの上に冷たい料理が長くのっているからです。当然、マスクなしに延々とおしゃべりをするでしょうから、感染リスクのとても高い食事となっています。

Q: クラシックコンサート通いが趣味です。コンサートホールは安全でしょうか

A: クラシックの場合、聴衆はじっと動かず、声もだしませんし、いまはホールがノーマスク客を受け入れていませんので、基本的には安全だと思われます。ただ、小規模なホールでは主催者が換気に気を配っているか確認したほうがいいでしょう。
日本を代表するのはサントリーホールですが、満席で2,000人ほどです。現在の東京の感染状況だと、この2,000人の中に100人以上の感染性のある人がいます。ホールではおしゃべりを控えて直帰し、すぐにお風呂に入るくらいの対応をすべきです。なかでも、ホワイエでの飲食に注意してください。マスクをとって、うっかり近い距離で人と話してしまいがちです。

Q: 接触感染リスクはほとんどないし、もう部屋の消毒は不要と言われました。本当ですか

A: 接触感染とは、ウイルスのついたドアノブなどから、手指を通じて感染する形態です。手についたウイルスを目・鼻・口の粘膜にもっていってしまった場合に起きます。ということは逆に、常に手指を清潔に保っていれば、接触感染リスクはたしかに小さい。
しかし現実には、アルコールの頻繁な利用は手肌が確実に荒れますし、いちいち石鹸で手を洗うのも面倒です。1日1度はGSEを使った部屋の清掃を勧めます。GSEは除菌効果に持続性がありますから、ずっと安心が続きます。また、手肌についてもまったく手が荒れません。

Q: もうネクタイはやめたら? というアドバイスを受けています。理由はなんでしょう

A: 洗えないからだと思います。かつ、頻繁に手で触りますし、相手の飛沫を受ける位置にある。新型コロナウイルスはモノや布の表面で感染力を長く保ちますし、感染者が激増しているいまは、ネクタイもスーツもやめたほうがいい。ちょうど夏ですから、上から下まで洗える服装にするのが妥当でしょう。会社の場合、自分の一存で変更することも難しいので、経営陣に「コロナ対応ファッション」の導入を直言してはどうでしょうか。

Q: インフルも怖い病気です。なぜ新型コロナばかり騒ぐのか疑問です。インフルの流行期に「マスクしろ」なんて言っていましたか

A: 圧倒的に異なるのが、コロナは感染力がはるかに強く、感染者が急増することです。病院に患者が殺到しないのであれば、これほど問題にする必要もありません。これは扱いを5類にしても改善はされない。集中して感染者が出る限り、医療が破綻し、他の病気の人まで助からなくなります。たとえば、交通事故が起きても救急車が出払っており、やっと病院に運びこめても外科医が不在、という事態を避けたい。それが現在の状態です。
マスクの件は、コロナを怖がってのことではなく、インフルと違って、元気な人がウイルスを多量に吐出するからです。これがコロナの感染力の秘密。それに対抗する手段が、「誰が感染しているかわからないから、とりあえず全員がマスクをする」というユニバーサルマスクです。


参考資料:GSEについて

FAQで時おり触れたGSEは、グレープフルーツ種子から抽出した植物エッセンスです。1990年代に実用化され、非常に強力な除菌能力がある上、ヒトに安全であることから、食品や化粧品の品質保持剤として使われてきました。アメリカではGRAS(Generally Recognized As Safe)として、日本では既存添加物(製造や販売に許認可の不要な食品添加物)として扱われています。

中身は脂肪酸フラボノイドのカタマリで、抗酸化物質です。800種類の菌・カビ・ウイルス・寄生虫を抑制することで知られており(注01)、かつ、油分なので揮発しにくく、効果が持続します。海外ではサプリメントとして飲用するほか、点鼻薬や吸入薬にも使われるなど、除菌剤でありながら、ヒトに安全であることが最大の特徴です。ペットにも安全なので、海外のペットサイトでは鳥のケージやイヌ・ネコのケアにGSEが推奨されています。また、GSEとキシリトールを主成分とするベストセラー点鼻薬・XlearをCOVID-19患者の治療の補助に使うと、早く治癒したという研究もされているものです(注02)。

当社はこのGSEを効果的に利用するためにMISTECT(2020年9月9日発売)を、身近なものとするためにBNUHC-18(2021年1月25日発売)を開発しました。ヒトにもペットにも、もちろん子どもにも安全なGSEこそ、生活空間・仕事空間中のウイルス量を減らす有効な武器だと考えてのことです。ワクチンを接種しているなら、大量のウイルスに曝露することを避ければいい。MISTECTとBNUHC-18は、手軽に、安全にウイルス対策することを可能にします。

除菌作業を自動化するMISTECT

MISTECTはJAXAが特許を取得している特殊なノズルで、GSE水溶液(MISTECTウォーターまたはBNUHC-18)をミクロン単位の細かな霧として噴霧し、GSEを室内に自動的に拡散し、露出表面に付着させるシステムです。200㎡の部屋でも5分程度の噴霧で、作業が終了します。あとはGSE分子がブラウン運動を起こし、自動的に拡散するのです。

MISTECTマイクロスプレッダ

築地本願寺や複数のクリニック、介護施設、保育園、音楽教室などで活躍しています。陽性者の出たクリニックや介護施設、保育園でMISTECTを使って除菌作業を行ったところ、二人目の感染者が出なかった実績があります(注03)。最大の利点は、手作業が一切不要という点です。部屋に置いて、タイマー稼働させるだけ。感染者が出た場合の除菌作業を安全な作業にします。

MISTECTの購入は代理店(インターピア株式会社)にご相談ください。GSEは効果に持続性がありますので、定期的な使用で、声を出す会議室やコールセンター、コンサートホール、トイレなどを安全な空間にし、塵埃感染を防ぎます。ワクチン接種が進んだいま、MISTECTと換気で、室内空間のウイルス量を減らせばいいわけです。

GSEを気軽に使えるものにしたBNUHC-18

BNUHC-18はGSEをエンベロープ型ウイルスや多くの菌・カビを秒単位で抑制できる濃度に調製したGSE水溶液です。GSEそのものは油分であるため、多くのGSE製品は界面活性剤としてグリセリンを添加していますが、BNUHC-18はそうした添加物を一切使わないココチGSEを採用しました。つまりBNUHC-18は、100%天然です。

人にやさしく、モノにも影響がほとんどないGSEですが、300mlで3,300円が相場でした。もっと気軽に、ふんだんに使えるようにしないと、邪悪なウイルスに対抗することは難しい。そこで、5リットル/20リットルのバロンボックスでの販売としました。

5L版は19cm四方、20L版は30cm四方

スプレーボトル等に詰め替えてご利用ください。現状の価格でも「アルコールの倍高い」のは事実ですが、GSEには効果に持続性があり、使用頻度を下げられますから、トータルコストは安くできます。直販サイト「BNUHC-18 ONLINE STORE」からご購入いただけます。

  • BNUHC-18/20L(27,500円税込)
    20リットル版です。単価はこれが最も安くなります。会社で購入し、家庭内感染対策として従業員に持ち帰りさせるという使い方を勧めます。子どもやペットがいても健康被害を出すことなく、安心して使える除菌剤です。発火性もゼロですから、大量在庫でも安全。アルコールのように消防署への届け出も不要です。
  • BNUHC-18/05L スプレーボトルセット(14,080円税込)
    5リットル版BNUHC-18に100mlのスプレーボトルを20本セットしました。飲食店の各テーブルに置いたり、社内で配布したりするのにぴったりです(数量限定販売)。
  • BNUHC-18/05L(9,680円→9,196円税込)
    5リットル版です。サイズも質量も20リットル版より扱いやすいメリットがあります。第7波がおさまるまでは価格を下げることにしました。
  • BNUHC-18/05L サポーターズモデル(9,900円税込)
    音楽を趣味にされる方は、ぜひこちらを選んでください。売上の一部をオンライン配信をするクラシック演奏家の支援にあてるモデルです。

BNUHC-18はスプレーして拭き取るのが標準的な使い方ですが、超音波式加湿器を使って散布したり、モップ式のお掃除ロボットと組み合わせて、床をGSEコーティングしたりといった使い方も可能です。

7月27日、出産に危機が迫っているというニュースが報道されました。
「陽性妊婦」受け入れ病院不足で危機的状況【熊本】
出産はいきむため、周囲の人間を感染リスクにさらすことから、新型コロナ陽性となった妊婦の出産を扱える病院が少なく、パンク状態になりつつあるという内容です。出産間近な妊婦さんがいる場合は、本当に感染しないように、周囲が注意するほかありません。
ヒトに安全なGSEをご活用ください。

注記

注01:The effectiveness of processed grapefruit-seed extract as an antibacterial agent: II. Mechanism of action and in vitro toxicity
注02:Potential Role of Xylitol Plus Grapefruit Seed Extract Nasal Spray Solution in COVID-19: Case Series
注03:ニュースリリース(2021/08/17)・GSEとMISTECTが新型コロナ対策に効果