GSE(Grapefruit Seed Extract)は、1990年代から実用化された除菌・抗菌機能をもつ植物エッセンスです。開発したのは免疫学者だったヤコブ・ハリッチ博士(Harich, Jacob. 1919‐1996)。間違ってグレープフルーツの種を噛んだらやたら苦かったことから、「機能性がある」と直感し、開発したと伝えられています。

GSEはグレープフルーツの種を絞ったエッセンシャルオイルで、水溶液にして使います。当社のBNUHC-18もGSE水溶液です。独自の製法で添加物を使わずに水溶液化することに成功したココチGSEを採用。BNUHC-18は100%天然の植物エッセンスです。果肉や果皮は使っていないので、ほぼ無臭の液体です。また、高血圧の薬を服用している方が使っても問題はありません。問題となるフラノクマリンは果肉などに含まれるもので、種子には含まれていないからです。

食品添加物として注目される

当初、合成殺菌剤成分が含まれているといった嫌疑がかかったりもしましたが、その疑いが晴れてから普及しました。海外ではGSEをサプリメントとして飲んだりもしています。内容成分はナリンゲニンやクェルセチンなどの脂肪酸フラボノイドで、抗酸化物質のカタマリです。

特色は除菌効果が高いのに、ヒトやペットに安全であること。真っ先にこの特徴に注目して採用したのが食品業界で、食中毒を防ぐ品質保持剤として採用されました。そして、GSEは既存添加物として認められています。既存添加物とは、機能と安全性が確認されており、製造と販売に認可を要しない食品添加物です。

調理中に使える唯一の除菌剤

とくに飲食店にGSEの利用をお勧めします。調理中にも使えるからです。
カンピロバクターやノロウイルス、O157に黄色ブドウ球菌など、料理は食中毒をひきおこす病原体との戦いの場。たいていは加熱で不活化できるとはいうものの、怖いのが布巾やまな板、包丁や手を通じて、サラダなど生のまま食べるものに汚染がひろがることです。これはいくら注意していても、起きてしまうことがある。

GSEなら、たとえば鶏肉を切ったあとの包丁やまな板や手にスプレーすることができます。多少、料理に残留しても既存添加物ですから問題はありません。匂いで料理を台無しにすることもない*1

とくに使っていただきたいのが、包丁やまな板の付着物を拭き取る布巾です。GSEで濡らしておけば、拭き取りと同時に病原体の抑制もします。GSEは揮発しないので、濡れ布巾の除菌力が持続しますし、抗酸化物質ですから、鉄の包丁を錆びさせることもありません(むしろ錆を防ぎます)。

営業終了後、布巾はいつものように、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸してください。より確実です。調理中の除菌はGSE、営業終了後の除菌と漂白は次亜塩素酸ナトリウムという使い分けを勧めます。GSEには漂白能力はありません。

布巾を多用する場合、布巾をGSEで濡らしておくと安心

テーブル清掃やトイレ清掃にも

ホールの衛生も重要です。もうすっかり「新型コロナ対策など不要」という雰囲気になってしまっていますが、この雰囲気のためにかえって感染が蔓延している状態です。そして、気にすべきは新型コロナだけではありません。飲食店にとっては、はるかに怖いノロウイルス感染がひろがっています。

ノロウイルス感染症には二つの顔があります。食中毒としてのノロウイルスと、ヒト・ヒト感染症としてのノロウイルスです。厨房で万全の食中毒対策をしたところで、ホール担当者がノロに不顕性感染をしていたり、発症寸前だったりして、ノロウイルスを食べ物にふりかけていたら、やはりクラスターが起きるのです。
その場合でも、営業停止処分となることは確実です。発症したお客様に対する治療費や休業補償費などの支払もある。損害はPL保険がカバーするでしょうが、心理的負担はかなり大きい。

GSEをテーブル清掃とトイレ清掃に使ってください。テーブル清掃時には、調味料容器なども拭き取ることを勧めます。また、ノロウイルス対策として、スタッフの全員がマスクをすることを強く推奨します。二つの飲食店をかけもちするほど元気な調理人が、両方のお店でノロウイルスクラスターの感染源となった事例も出ています(2021年、東京都)。

床清掃がきわめて大事

新型コロナやノロウイルスなど、唾液にウイルスがいる病気は、飛沫の中にウイルスがいます。飛沫が大量に出るのは、おしゃべりや歌など声を出すときと、クシャミや咳をするときです。

そして飛沫は重いので、下に落ちる。つまり、飲食店においては、テーブルと床が大量のウイルスに汚染されている可能性が高いわけです。そしてこれらのウイルスは、乾燥してくるとホコリなどに付着して宙を舞い、感染源となります。営業終了後の清掃は、必ずマスクをして行いましょう。

床清掃にもGSEが向いています。汚濁環境でも除菌力があり*2、広範囲に使っても火災の危険なく、匂いの問題も起きません(むしろ消臭する)。清掃では、最初と最後にGSEを使ってください。最後の仕上げにGSEを使うことで、翌日の感染リスクも低くなります。GSEは効果に持続性があるからです。

同様に、トイレも水洗のたびに周囲に飛沫がとびちっており、感染源となることがわかっています。こちらの清掃にもGSEを最初と最後にお使いください。

飲食店のノロウイルス対策については、こちらで詳しく説明しています。
[飲食店関係者必読]ノロウイルス・クライシス
https://bnuhc.info/archives/2025/noroviruscrisis/

また、飲食店内でどんなに気をつけていても、自宅で子どもなどの家族からノロウイルスをもらってしまうことも多い。家庭内感染を防ぐ方法はこちらで説明しています。
[緊急公開]家庭内で胃腸炎を防ぐ方法
https://bnuhc.info/archives/2025/noroprevention/

GSEと当社製品について詳しく知りたい方は、製品白書をご覧ください。
MISTECT/BNUHC-18製品白書
https://www.infoleaf.co.jp/archives/2025/whitepaper2025/

BNUHC-18は直販専用商品です。5L単位で販売し、お好みのスプレーボトルに詰め替えてもらう方式をとることで、アルコールなみの価格を実現しています。

https://bnuhc.shop/

注記

*1
なお、カンピロバクターなどは鶏肉の表面だけでなく、中にも入り込んでいるため、鳥さしにGSEをスプレーしたところで意味はないから注意。鶏肉はどんなに新鮮なものでも、中までしっかり火を通すことを勧める(宮崎県や鹿児島県のような、生食するための特別な衛生基準で鶏肉を処理しているところは例外。それでも子どもや高齢者が食べることは推奨されていない)。
豚肉も同様。たとえSPF豚であっても、レアで食べるのは食中毒リスクがある。豚肉を生食した結果、寄生虫(サナダムシ)感染で死亡することもある。「嚢虫症」(のうちゅうしょう)と呼ばれるこの病気は、いまも世界で毎年、数万人の命を奪っている。
牛肉は表面にしかO157はいないので、原理的にはGSEを肉にも調理環境にもくまなくスプレーすることで食中毒リスクを減らせる。しかし、加工肉や挽き肉は中まで汚染されていることがあるから、この方法でも防ぎきれない。GSEなど薬剤に頼らず、加熱で食中毒リスクを減らすのが確実。とくに加工肉と挽き肉はしっかり加熱すること(生食用衛生基準で処理されている場合を除く)。

*2
有機物が多い汚濁環境だと、それに反応して除菌力を失ってしまう除菌剤もある。GSEは汚濁環境でも除菌力を発揮することが確認されている(以下の論文の「シトラリッチ」がBNUHC-18相当品)。
「“除菌”などをうたった製品の消毒効果」
https://doi.org/10.4058/jsei.36.157